マインドフルネス  「東洋の脳トレ」 認知療法(MBCT)・ ストレス低減法(MBSR)  

 

マインドフルネスの前篇です。    前篇はマインドフルネスのストレス低減法(MBSR)を主軸に、マインドフルネスは何か?ということとマインドフルネスの原則を書き、後編ではマインドフルネスの実践方法の紹介と他の心理療法を組み合わせた実践方法を書きますね。

 

マインドフルネス認知療法(MBCT)は、「今の自分のありのまま」気づくためのレッスンで現実をあるがままに受け入れる「しなやかな心」を目指します。

 

「マインドフルネス」そのものの意味は、「今の瞬間の現実につねに気づきを向け、その現実をあるがままに知覚して、それに対する思考や感情には囚われないでいること」を表しています。

 

マインドフルネスは、ストレス対処法(MBSR)・認知療法(MBCT)だけでなく、弁証法的行動療法(DBT)やアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の中でも活用されています。

 

ストレス低減法(MBSR)は、マサチューセッツ大学医学部名誉教授であるジョン・カバットジン博士が開発したストレス対処法です。MBSRのベースになっているのは、伝統的な仏教・ヨガ・禅の行法です。MBSRと認知療法を組み合わせたものが、マインドフルネス認知療法(MBCT)です。

 

瞑想法を取り入れた療法であるマインドフルネスは、欧米ではすでに病院や教育の現場でも実践され多くの実証的研究報告があり、

 

例えば再発性を含むうつ病性障害不安障害慢性疼痛物質依存・糖尿病、そして境界性パーソナリティ障害精神病性障害などに効果があるストレス対処法の1つとして認められています。

 

それではまず、早稲田大学人間科学学術院教授の熊野宏昭氏のPDFと、関連記事をひとつ紹介します。

参考PDF⇒ マインドフルネスはなぜ効果を持つのか

 

また実証に基づいたマインドフルネスの技術と、認知行動療法の原則を実用的に統合したものをMiCBT(マインドフルネス統合認知行動療法)といいます。参考の記事を以下に紹介。

 

「MiCBT(マインドフルネス統合認知行動療法) とは?」 より引用抜粋

(前略)
マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは、私たちの体内や心で体験される出来事一つ一つに、価値判断も反応もせず受け入れるような姿勢で意識を向け、この瞬間から次の瞬間へその意識を持続することです。

マインドフルなあり方を学ぶにつれて、色々な出来事をとらわれのない無執着の姿勢で体験できるようになっていくので、ストレスや不安症、うつといった日常の苦しみにも対抗できるようになっていきます。

MiCBTで使うマインドフルネスは、2500年前にインドで発祥しアジア中に広められた、ヴィパッサナー瞑想法に端を発します。ヴィパッサナとは「物事をありのままに観る」という意味です。

マインドフルネスの原則としくみの中でも特に大切なのは、「エクアニマスな心」と「無常」です。
(中略)
マインドフルネスの練習とは?

毎日のできごとを観察するだけでも、日常レベルでのマインドフルネスの練習はできますが、マインドフルネスの技術を身につける最も効果的な方法は、座って行う本式の瞑想です。

本式の瞑想だと、日常生活では避けようのない様々な刺激から離れ、意識を自分の内にのみ集中することができるからです。

瞑想は私たちに、色々な内なる経験を再プロセスする機会を与えてくれるわけなのですが、たとえその内なる経験が辛い思い出などであっても、バランスのとれた受容の精神で再プロセスできるようにしてくれるのです。

マインドフルネスの本式の瞑想では、まず自分の呼吸に注意を向けて、集中力を養い、どこに意識を向けるかというコントロールを身につけるようにします。これだけでも、不毛な思考に邪魔されることがかなり減るでしょう。

訓練中には、思考が音声や映像となって次々と浮かんでくるでしょうが、そういった思考の内容にとらわれたりせずに「ただの思考。常に変転するこころの中のできごと」と客観的にとらえ、そしてまた自分の呼吸に意識を戻すのです。

そうやって、色々な思考が浮かんでも反応しない術を学習してゆくのです。また、思考というものが私たちに影響したり私たちを定義づけたりできるものではない、という直接の体験が得られるのです。

同じように、体の感覚に注意を向けるときは、快い感覚であれ不快な感覚であれかまわずに「ただ単なる体の感覚」と客観的に感じる術を学習してゆきます。

思考やその他の色々な経験と同じく、体の感覚もまた無常であり、どんなに快くても不快であっても必ず過ぎ去る性質なのだということを、マインドフルネスの修行は私たちに気づかせてくれるのです。

この事実に気づいていくにつれて、体の感覚というものは本質的に単なる体験で、それに反応しない限り私たちに影響をおよぼさない、と観察するすることがだんだん容易くなっていきます。

なぜ体の感覚を特別視するかというと、私たちは体の感覚を通してしか、感情を感じることができないからです。

したがって、体の感覚に反応しないように訓練することは、感情を受けいれてから手放せるようになること、感情によって苦しまないようになることにつながります。つまり、うまく感情制御できるようになるのです。

– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ MiCBT(マインドフルネス統合認知行動療法) とは?

 

 

「認知行動療法は重いうつにも効果 – 京大が確認」より引用抜粋

京都大学(京大)は1月27日、認知行動療法が重度のうつ病の場合でも、軽度のうつと同程度に効果があることを発見したと発表した。

同成果は、同大 医学研究科の古川壽亮 教授、同 田中司朗 准教授、Erica S. Weitz アムステルダム大学博士課程学生らの研究グループによるもの。

詳細は英国王立精神医学会発行の学術誌「The British journal of Psychiatry」に掲載された。

– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ 認知行動療法は重いうつにも効果 – 京大が確認

 

上の引用記事にもあるように、マインドフルネスの原則として大事なポイントである「エクアニマスな心」とは「私たちが体験するさまざまなことがらに対して、中立的な姿勢を保っている状態」です。

 

そしてマインドフルネスの原則としてもうひとつの大事なポイントである「無常」、つまり私たちの心を含む全てのものは常に変化しているという普遍的事実を理解することです。この二つの原則をもとに、瞑想のレッスンを繰り返すことで、「自分」をもっと柔軟で多角的な見方でとらえられるようになっていきます。

 

その結果、ストレスや不幸につながるような、凝り固まったものの見方やすでに癖になっている否定的な習慣などに囚われず依存しない心の状態になるのです。

 

このように素晴らしいマインドフルネス心理療法ですが「何もかもに効果があってすぐに誰にでも完全な効果がある」などという魔法のテクニックではありません。

 

また「瞑想」にもいろいろあり、「瞑想」なら何でも心・精神の病に効果があるというわけではありません。信頼して取り組む姿勢の方が良いのですが、過剰過ぎる期待や盲信はせずに補足的なものとしてお役立て下さい。

 

瞑想(マインドフルネス)の注意点と危険性  自灯明・法灯明

 

では、もうここで、ひとつ記事を紹介します。

 

「瞑想の「うつ」などへの効用は限定的=米研究」 より引用抜粋

瞑想は、不安や鬱(うつ)、痛みをある程度和らげるかもしれないが、薬物乱用や劣悪な食習慣、睡眠障害、肥満の抑制・改善などをもたらすという証拠はほとんど見つからなかったとする研究報告書が発表された。
(中略)
報告書によれば、ある程度の効用があったのはマインドフルネス瞑想けだった。例えば、軽い鬱の症状がある患者のマインドフルネス瞑想よる回復は、抗うつ剤を服用した場合に期待されるものと同程度だった。

マントラ瞑想法による治験はほとんどなく、そのためこの瞑想法の効用示す証拠はほとんど見つからなかった。また、瞑想が有害であること示す証拠もなかったという。
(中略)
H・ゴロール教授はJAMA内科誌に掲載された解説文の中で、今回の研究は瞑想がストレスに関連した症状の軽減効果が恐らく一般に考えられているより小さいことを示唆すると述べた。

同教授は「マインドフルネス瞑想が、小さいものの潜在的に有意義な精神的苦痛軽減をもたらしたという重要な例外があったものの、研究は全体として、苦痛軽減ないし全般的な健康状態の改善という点で瞑想がもたらす効果を示せなかった」と述べた。 

ただし、同教授は被験者が瞑想の訓練を30~40時間しか受けていないため、「瞑想はマスターするのに時間がかかる技能」であることを示唆している可能性があると指摘した。同教授は瞑想の効用に関する確固たる結論を出すには、より多くの証拠が必要だとも述べている。
– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ 瞑想の「うつ」などへの効用は限定的=米研究

 

上記の記事のポイントをまとめると、

1.  軽い鬱の症状がある患者のマインドフルネス瞑想による回復効果抗うつ剤を服用した場合と同程度ある

2.  ある程度の効用があったのはマインドフルネス瞑想だけ

3.  マントラ瞑想法による治験はほとんどなく、そのためこの瞑想法効用を示す証拠はほとんど見つからなかった

4.  瞑想が有害であることを示す証拠もなかった

 

そして教授は「瞑想はマスターするのに時間がかかる技能」であることを示唆している可能性があると指摘し、瞑想の効用に関する確固たる結論を出すには、より多くの証拠が必要とも述べている。

 

 

「東洋の脳トレ」マインドフルネスの脳科学的メカニズム

 

教授が語る「瞑想はマスターするのに時間がかかる技能」というこの部分、これも大事なポイントです。瞑想は奇跡のマジックなどではありません。「脳のトレーニング」でもあるんですね。

 

例えば「しなやかで丈夫な体」を作るトレーニングを行うとして、ちょっと訓練してすぐにそういうボディーが出来るわけではありません。ですが、心のトレーニングであれば人は抽象的に、そして簡単に考える傾向があるわけですね。

 

ですが脳・神経も物理的な要素で構成されています。例えば、思考・記憶・感情は、脳において神経伝達物質やニューロンなどの「物質化した構造」によって情報伝達されるものであり、

 

脳の中には形状記憶体とでも表現できる記憶のパターンが存在しているのです。なので「脳のトレーニング」というものは身体のトレーニングとは方法は全く違えど、物理的なものへのアプローチを含んでいる具体的な過程なんですね。

 

ですので、身体トレーニング同様に、焦らずゆっくり継続して日々行い続けることが力になっていきます。では今回の記事の終わりに、マインドフルネスの「脳科学的メカニズム」に関する参考PDFと記事を紹介します。

⇒ 神経行動療法への展開 (熊野宏昭 氏)

 

「マインドフルネス認知療法:理論と実践」 より引用抜粋

 〈MBCTのメカニズム〉機能的核磁気共鳴画像(fMRI)の研究で,マインドフルネスの指標が高い健常群は低い群と比べて,右扁桃体の活性が低く,感情刺激の課題を行うと前頭前野の領域が扁桃体の調節を行っていることが示されている。 

また,在り方(being)の違った様式を受け入れることによってメタ認知的な気づきを高めることがMBCTの重要なメカニズムであるが,自己認知の二つの異なった様式(ナラティブな自己認知と経験的な自己認知)に関してfMRIが行われている。 

ナラティブな自己認知は,自己や他者の特性の記憶や自己同一性の連続性に関連し,デフォルトモードネットワークと同様のパターンを示す内前頭前野の活性と関連する。 

一方,経験的な自己認知は人の瞬間的な体験を参照し,身体及び内臓感に関与する右側のネットワークと関連する。

マインドフルネスの訓練をけた後は,自己のナラティブから瞬間的な体験へと注意が向けられた時,上述と合致するような皮質の活性のシフトが生じることがわかっている。 

その他,いくつかの予備的な機能神経画像研究で,辺縁系回路や注意のコントロールに関する皮質の制御を増強することにより,感情制御が改するという見解が得られている。 

〈MBCTの有効性〉いくつかの無作為化対照試験では,反復性うつ病患のうち,通常治療(TAU)と比べてMBCTを行った群では再発率が有意に低かったと報告され,

また抗うつ薬の維持療法と比較して同等の再発予防効果があったとする研究も報告されている。更に残存症状がより少なく,QOLも高いという結果も得られている。 – 引用ここまで- 

引用元

https://ds-pharma.jp/literature/psychoabstract/article/2012/08_04_12.html

 

 

 

マインドフルネス  「東洋の脳トレ」 認知療法(MBCT)・ ストレス低減法(MBSR)  ” に対して1件のコメントがあります。

  1. ノムラマサカツ より:

    やってみます。
    そして、根気よく続けようと?習慣化しようと思います。

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