精神科医・世間一般の知らない無意識の領域  

 

今日は精神科医・世間一般の知らない無意識の領域がテーマですが、これは実際には全く知られていないわけではなく「不明瞭な領域」と言う意味ですね。

 

そして心の表れとしての正と負の現象は、無意識レベルでは「双子の兄弟」であることをテーマに記事を書いています。

 

 

「心・精神の病」というと、すぐに世間は否定的な目で「劣」や「悪」や「弱」に偏ったイメージでそれを見る傾向性があります。そして(全てではないですが)一部の精神科医はすぐに病気の種類の命名⇒ 通常治療というパターン的な発想です。

 

誤診もまだまだ多いし、それに気づかず長年治療して治らないどころか悪化する、なんていうこともまだまだあるわけです。(現時点ではそうですが、徐々に良くなっていく方向性に向かっていると思います)

 

たとえばもし現在の統合失調症への医学的措置が通常治療以外になく、それが絶対あるいは「それに近いもの」であるのであれば、『 薬物治療や入院は極力避けて話だけで治療するオープンダイアローグ』なんていうアプローチはインチキでありえないはずだし、

 

仮に効果があっても極端に低い効果しかないはずです。ところが、これがもちろん完全とか100%とかではないにせよ、想像以上に効果を発揮しているわけですね。

 

「あれ?何かおかしいじゃないですか?」「対話」で想像以上によくなるなら、今までの対応は一体何だったんですか?

 

対話だけで治療!? オープンダイアローグとは
「オープンダイアローグ」とは=対話で精神病からの回復目指す

 

 

とはいえ精神医学も試行錯誤しながら改善・更新しつつ徐々に発展していくしかなく、通常治療の全てを否定するわけではなく、それが「悪」というわけでもありません。

 

また症状の種類分けとして何らかの定義をすることは必要であり、明らかに通常の生活が困難であるような場合に、具体的な対応を取る医療関係者や治療の場も必要であるため、仮にそれが「不十分」だとしても現実的には仕方のない部分もあるでしょう。

 

ですが、要は「実際にそうやってどれだけ治ったんですか?」ってことと、「その定義と対応が最も正しく適切でそれしか本当にないと断言出来るのかということですね。

 

社会的責任が一番重いのは医師であり専門家たちなので、慎重にならざるを得ないのは当然としても、医師・専門家の判断や対応によって、患者は一時的なものでは済まずにほぼ一生が決まってしまうことだってあるわけです。

 

以下に動画を紹介していますが、それは実際にごくごく普通の女性にある日起きた「幻聴」という体験を通して、精神科医や周りの人がどのような「固定観念」でそれに接し、その結果彼女の症状はどうなったか? という貴重な問いかけを含んでいる動画です。

 

精神科医や周りの人の「固定的な目線」によって、逆に悪化した精神の病気を彼女は自力で治していくんですが、その方法というのは、このブログでいう「無意識の問いかけに耳を澄ますこと」と同じ質のものなんですね。

 

これもまたある種の「対話」であり、ナラティブな存在としての「肯定」から入るスタンスなわけです。そして彼女も感性的に「無意識と意識の関係性」に気づいたんですね。だから自力で治せたのです。

 

もし彼女がそれを悪霊の仕業と考えたり、現象をただ否定的に捉えて薬物療法のみに盲目的に依存していたならば、おそらく永遠に気付けなかったでしょう。彼女は周囲・社会の理解のなさによってかえって症状は悪化し苦しみが増し遠回りしたために、抜け出すのに十年もかかったんですね。

 

エレノア・ロングデンは、何処から見ても他の学生とはなんら変わらなく、何の心配もないかの様に、軽い足取りで大学に通っていていました。しかし、それも彼女の頭の中で、声が聞こえ出すまでの事でした。 

最初、無害だった”声”は、次第に敵対し、命令口調になって行き、悪夢の毎日となって行きます。統合失調症と診断され、薬漬けとなり、治療法が見つからないまま放棄されます。ロングデンは、その”声”に耳を傾ける事で回復した長い道のりを、私たちに語ります。
 

 

精神科医・世間一般の知らない無意識の領域

 

以下の文は「解離・憑依」という現象をテーマに私が書いた過去記事の一部ですが、今回のテーマとも重なるので抜粋しました。

 

人間存在に先天的に備わっている原初的な心・精神の機能が過剰に抑圧化されることで無意識内にはある種の不調和が生じます。そして抑圧を強化しているのは「後天的な条件づけ」であり「理性の働き」です。

これは一見すると表面的には秩序と統制がとれた姿には見えますが、意識全体として見れば、それはバランス異常の状態と言えるものであり、内的な分裂・葛藤状態の原因でもあるのです。

よって理性によって一方的に封じ込めた無意識の機能と顕在意識との関係性は反発的・敵対的ななものとなったり、あるいは別次元的な対象物 のようなものと錯覚されるようになるのです。

そして集合的無意識の投影物である「神や妖怪や魔物」がある種の自律的 な生命力を持たされたように感じられるほど強化・存在化しているのは自身がそれに生命力を与えているからなのです。

無意識からの「この不可解な攻撃的な訴えの意味」と言うのは、苦しめることが目的ではなく、実はバランスを失った自我の不調和状態を、調和の状態 に統合しようとする自然治癒的な働きから起きた「存在(無意識)からの問いかけ」だったのです。

 

⇒  「解離性同一性障害と憑依体質」意識・無意識のバランス異常から自己統合へ

 

この記事の最後の部分に、『 無意識からの「この不可解な攻撃的な訴えの意味」と言うのは、苦しめるこ

が 目的ではなく、実はバランスを失った自我の不調和状態を、調和の状態に統合しようとする自然治癒的な働きから起きた「存在(無意識)からの問いかけ」だったのです』と書いていますが、

 

ここで無意識からのサインの解釈を間違い、内的な不調和を正負に分裂化させると、心の中で正負がそれぞれ光と闇のように分離化して戦うようになっていきます。

 

人間の無意識は我々自身が気が付く前に、つまり顕在意識が認識するより早く感知し、しかも顕在意識よりも先に重要な決定をしている、という実験結果の記事も参考に紹介しておきますね。

無意識からの解答

 

無意識の様々な要素は、本来一方を分離して排除抑圧するような敵対関係ではありません。 社会生活ではペルソナ(役割の仮面)を必要とするために、ある意味、人は全体性としては存在出来ず抑圧化した在り方で生きていますが、

 

無意識では存在は「全体性としてある」ため、休息や睡眠や私生活などでその抑圧化した部分を調和回復するように補っているわけです。例えば理性にしろ本能にしろ、どちらも人間に必要であり、適切に使い分ける働きのひとつに過ぎないのです。

 

ですが何らかの形で生じた無意識の不調和が、回復出来ないままそれぞれの機能が激しく分離して、一方が一方を排除抑圧するような内部関係を形成した場合、ある人はそれがパーソナリティの異常として表れ、またある人はうつや精神のとして表れ、またある人は体を壊して物理的な病として表れるなど、人それぞれですが、

 

そもそも「無意識の不調和の原因」というのは先天的な遺伝性のものもありますが、多くの場合、家族・コミュニティー・社会の負の心理的力学が複合的に絡んでいるわけです。

 

そして無意識の不調和が起きている時に、精神世界のオカルト情報などがそこに加わり盲信してしまった場合、その人の内的な不調和はさらに肥大化します。

 

それを変性意識で見た場合は、『 無意識という「宇宙・次元」の中で善と悪が戦い、神と魔が戦う、といった壮大な光と闇の戦いといった光景にまで発展していきます。

 

そして最終的に「戻ってこれない人」になるわけです。もし、先の動画の女性が幻聴の原因を「爬虫類人の霊」だとか「魔界」だとか「憑依霊」だとか「悪魔」とか、「電磁場攻撃」とか「イルミナティ-の陰謀」だとか呼んでいたらどうなっていたでしょうか? 健康な人だったら簡単にわかりますよね。

 

彼女が自身の無意識からの問いかけとしてそれに向き合わずに、外側から来た他の魔的な意志の働きと思いこんでしまったなら、彼女は「戻ってこれない人」、「本当に頭のおかしい人」になっていたでしょう。

 

またオカルトにハマって狂人にはならなくても、その原因を単に脳の病気として考え薬物治療に完全依存しただけだったのなら、彼女はその真意がわからず薬物依存状態でずっと苦しみ続けたでしょう。

 

◇  2015年6月追加更新

「幻聴の新しい対処方法」 より引用抜粋
(前略)
去年の10月、世界から200人もの幻聴を聞く人たちがギリシャのテッサロニキに集まった。インターボイスと言う組織が開いた第6回目の会合で、この会合では従来の幻聴に対する考えを改めて、幻聴を意味あるものと捉え、どう幻聴に向き合っていくかを考える。

「もし幻聴を不吉な精神症状と考えると、声は力を増し、我々は幻聴に圧倒されてしまう。幻聴の意味を理解すれば、共に生きていくことが出来る」と今回の取りまとめ役であるテッサロニキ・アリストテレ大学講師のユージニー・ジョーガカ氏は言う。

”The Hearing Voices Network”も幻聴に対する新しい考えを推し進めている。1987年オランダで発足したこの組織は、ボスニア、カナダ、日本、タンザニア、アメリカを含む、世界30ヶ国に支部を持つ。

組織のメンバーは互いの経験を話し、どう対処するかを考える。対処の例として、幻聴と話す時間を決めるのもその一つだ。こうすると、幻聴に一日費やすことがなくなる。

彼等は幻聴が聞こえるようになった原因にも注目している。今までの統計から、幻聴は、激しい精神的ストレスやトローマの後に現われている。幻聴を聞く人の70%近くが精神的トローマを経験していると言われる。

幻聴の声の特徴は、虐待をした人の声に似ていることだ。また、虐待があった時の被害者の化身として現れることもある。声は地獄の響きから、天使のような声まで様々である。 

– 引用ここまで- (続きは下記リンクより) 

引用元⇒ http://mui-therapy.org/newfinding/whisper.html

 

 

精神科医・世間一般の知らない無意識の領域  ” に対して1件のコメントがあります。

  1. Jackie より:

    このNews Weekの記事の存在とTEDの動画を紹介していただき、ありがとうございます。幻聴に苦しんだ当事者の力強いスピーチを視聴できるとは、今日まで思っていませんでした。一昨年の秋から養子(息子)が絶え間ない幻聴に悩むようになり、声に促されて野原をさまよったり財布の中身を撒いたりする不思議な行動をして以来、本人は絶望していました。医療保護入院先の治療は投薬中心で、彼の人生のストーリーには関心は払われていませんでしたが、彼の希望で会員になった合法的自殺幇助提供組織DIGNITAS(スイス)が、息子の悩みや苦しみに寄り添う形でアドバイスをくれ、その中で、自分史を詳細に書くことをすすめてくれました。息子の書いた自分史によって、子供時代に実の親から受けた虐待や同級生、教師から受けた暴力のあったことを知りました。貴サイトの記事を読んで、非常に腑に落ちました。薬物投与だけでは彼の絶望や怒り、屈辱感は癒せないし、彼の苦しみは子供時代の経験と分かちがたく結びついていると感じていましたが、やはりそうなのだ、と。死以外に納得できる結論はないと頑なに思い込んだ息子にどう伝えようか、慎重になっています。この2年弱、本当にネットでも情報をあさり、医者や保健師にも意見を聞き、本も読みましたが、あなたのサイトにたどり着けたことをあなたと、何かに感謝しています。

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