燃え尽き症候群と「うつ」 現代社会を生きる男女のストレスと心の病 

 

今回は「うつ」を中心とした現代社会を生きる男女のストレスと心の病の補足記事です。以前に「うつ」の種類を大きく分類分けした記事も書いていますので参考にどうぞ。⇒ うつ病 – 症状・タイプ これって本当にうつ?

 

今回の記事で「うつ」という言葉を大きな枠組みで使っていますが、正確には「抑うつ状態」=「鬱」ではありません

 

今回は「うつ」の症状での大きな分類分けというよりも、現代社会を生きる男女のストレスによって引き起こされる「うつ」と心の病がテーマで、症状の分類分けというよりも、「うつ」と心の病になりやすい「カケ」となるシチュエーションでの分類ですね。

 

 

◇ 燃え尽き症候群

 

(バーンアウト・シンドローム)

燃え尽き症候群(バーンアウト・シンドローム)は心因性のうつの一種ともいわれ、「今まではエネルギッシュに頑張っていた人が、あたかも燃尽きるかのようにエネルギーが枯渇し、無気力になり落ち込んでし症状」に加えて「焦燥感、イライラ」が強くなり、

 

そしてこれをキッカケに本格的なうつ病を発症する場合もあり、うつ病の原因の1つとされています。この症状を命名したとされるアメリカの精神分析学者H・フロイデンバーガーによれば、

 

自分が最善と信じて打ちこんできた仕事、生き方、対人関係の持ちが、まったく期待はずれに終わったことによってもたらされる疲弊状態」と定義されていますが、

 

具体的な症状などの説明は後で書くとして、先に「何故ある人は努力続けても燃え尽き症候群にならず、ある人は燃え尽き症候群になるのか?」を見てみましょう。

 

例えばアスリートのように、尋常とは思えないほど努力している人たちがいます。またそんなに華やかな世界でなくても、物凄い才能やら能力とかを開花させた人たちでなくても、「地味に実直に努力し続けているのに燃え尽き症候群にならずに元気のの人」も沢山います。

 

以前そのことと関連深いテーマで書いた記事があるので紹介しておきます。⇒ 無意識と顕在意識と能力の関係  意識の状態で異なる効果

 

 

燃え尽き症候群は、「理想と現実のギャップによるショック」+「見返り期待して行った努力が期待通りの見返りを得られなかったことへの失望」です。

 

大うつ病躁うつ病などのうつ病 との違いは、自責感よりも他責感が強り、怒りや嫌悪などの攻撃的感情が他者へ表現される点でしょう。

 

燃え尽き症候群は「献身的な人、責任感・使命感の強い人、頑固で意志思考や感情の切り替えが柔軟でない人、対人関係に不調和がある人、上昇志向が強く能力が高い人」がなりやすいとも言われます。

 

そして「ストレス症候群に陥りやすい人とそうでない人がいます。もちろんどんな人でも限界点はあるでしょうが、ストレス耐性には個人あることは確かなのです。

 

ストレス症候群に陥りやすい人の傾向・タイプは、「感受性が強く周囲気をつかい過ぎる人、そして物事の受け止め方や見つめ方に柔軟性にく、几帳面で神経質。 意志・責任感は強く何事も完璧にこなそうとすが、不器用でひとつの物事に過剰にこだわりやすい人」ですね。

 

一見すると強く気丈にも見えるけれど、このような状態は実際は「折れすく壊れやすい脆い状態」でもあります。「うつの病前性格」と重なるので、過去記事も参考にどうぞ。⇒ うつになりやすい性格 思考タイプ - 病前性格と認知療法  –

 

 

 

「燃え尽き症候群」と似たものに「荷おろしうつ病・空の巣症候群」といわれるものがあります。

 

大きな仕事子育て・努力をやり遂げた後、エネルギーを使い果たして「虚無感や無気力感」に襲われ、それが休息によっても回復することなく、何も手につかない抑うつ状態になる症状を「荷おろし症候群」「の巣症候群」といいます。

 

なりやすい人は「燃え尽き症候群」と基本的に同様です。「 優等生タイしかも他人に頼りたくないタイプで何でも自分ひとりでやろうとする人

 

このタイプの人が専業主婦の場合、良妻賢母で子育てを生きがいに頑張るのですが、人付き合いは下手なので、いざというときに頼れる人、支えになる人がいないのです。

 

男性の場合は「仕事のレベルが高くプレッシャーも高いような状況あるまたは文句も言わず休みもとらず長時間労働・サービス残業や休日出勤なども黙々と働く人趣味や息抜き・リフレッシュの習慣を持たないで一日中にいる人」などです。

 

現代社会を生きる男女の心の病

 

現代社会を生きる男女の心の病である「うつ」を、状況別に種類分けしたものを簡単にまとめ説明しています。命名やキッカケ・状況が異なるだけで、基本の「うつ」のメカニズムは同じですね。

 

 

 

スーパーウーマン症候群という言葉は、1987年出版の「スーパーウーマン・シンドローム」という本から流行語となりましたが、仕事も育児も家事もすべてを完璧にこなすスーパーウーマンになろうとした結果、そのストレスで疲れ切った女性たちの症状をいいます。

 

 

 

○ 昇進うつ病

せっかく昇進はしたにも関わらず、その後に襲う「うつ」。対人関係・職場環境の変化、周囲からの期待と役職への過剰な責任感で、僅かな失敗も許されない重荷がストレスとなり、ついには心身が耐え切れなくなることで生じ、無理を続けることで悪化していきます。

 

上昇停止症候群

競争社会化・実力社会化・数値社会化したことにより、年下の男性や女性が上司になったりすることもザラです。またライバルや後輩に先を越され、給料や待遇や立ち位置に大きな差があることもザラです。

 

そのような現実を目の当たりにしつつ、自分自身の昇進はもうないことを悟った中高年の男性の中には、それで無気力になり上昇停止症候群になり、そこからうつに発達していくことがあります。

 

心理学的に、これは外発的な動機づけがメインで仕事をしてきた人でしょうね。なので「内発的なモチベーション」をもっと高める方向性が効果的でしょう。

 

先にも紹介しましたが、以下の過去記事でそのことに関連したテーマを書いていますので参考にどうぞ。⇒ 無意識と顕在意識と能力の関係  意識の状態で異なる効果

 

 

 

ストレス症候群の一つとして現代社会で大きな問題になっているものに、「サンドイッチ症候群」というものがあります。いわゆる中間管理職に特有の板挟みの心理ですね。

 

パワハラ上司と、文句やクレームばかりの部下責任転嫁と足の引っ張り合い、出世闘争意識などにがんじがらめ状態に置かれる、まぁ現代社会ではもう蔓延化した非常によくある腐った社会現象ですが、最近は陰湿で計画的な精神的暴力性に満ちた事例も多くなっていますね。

 

 

 

退職症候群(定年症候群・定年前・後症候群)

長年働いた会社から地域へと人間関係・行動範囲が変化することで、抑うつ状態になることを退職症候群といいますが、定年まで残り数年なることもあり、定年前・後症候群とも言われます。

 

リストラうつ病

リストラによる心理的ストレスの強さ、そしてリストラがうつ病の原因のひとつになるのは、無職者の自殺率の高さを見ても自明であり、特に日本の社会では「リストラとうつ・自殺の関係」は高いといえます。

 

定年退職前でさえ抑うつ状態になる人がいるのです。リストラという精神的なショックの中、無職中は家庭でも地域でも居場所がなく、

 

中高年ではなかなか再就職先を見つけるのは難しいために心が徐々に不安定化し、しかも何とか仕事が見つかっても職場環境は以前とは大きく変わっているのです。以前に積み上げたものがゼロになってのスタートです。

 

そして若い頃のように頭と体が動いてくれず、一回りも年下の子にかなわず、年下の上司にしばかれる、しかも給与も雀の涙、そんな状態では自信を失いうつ状態となってしまうのもまぁ無理のないことと、一般的にはそう言えるでしょう。

 

ですが、この「かんばしくない状況下」でも心の状態には個人差が非常にあるわけですね。

 

これもやはり「外発的な動機づけがメインで生きてきた人、仕事をして」と、「内発的なモチベーションをもって生きてきた人、仕事をし」とでは大きな差があるでしょう。

 

つまり受動的で依存的に、与えられたものをこなすやり方で生きてきたのか、能動的で自立的・創造的に生きてきたのか、その違いで感じる世界は全く異なるわけですね。

 

 

 

「引っ越しうつ病」は、特に40代からの中年期の家庭の主婦に多くみられるといわれている症状です。主婦にとっては生活の場は「家・地域」ですので、引っ越しは単なる移動というわけにはいきません。

 

ですがこれも日本に特有なものと言われています。日本は世界でも「での平均引っ越し回数」が非常に少ない国で、引っ越しを強いストレスと感じやすい特性があるんですね。もちろんこれも個人差はあり、私は平気です。

 

 

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