機能不全家族 虐待 「PTSD」トラウマ治療
前日は「 悪魔的・猟奇的な人格」を脳科学+認知心理学で検証した記事を書きましたが、今日はその補足の記事です。前回記事 ⇒ 悪魔的・猟奇的な人格を脳科学+認知心理学 で検証
機能不全家族や虐待などによってPTSDとなったことにより引き起こされている状況からいかにして「回復」に向かうか?今回は精神医学の治療理論の一例を紹介します。
まず、大人と子どもでのPTSDの差異やPTSDの様々な治療法、そしてADHDとPTSDの類似性などに関してわかりやすくまとめてあるLITALICO(りたりこ)発達ナビの記事を紹介します。
⇒ PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説
2017/11月20日【追加更新】- ここから –
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)と金沢大学、理化学研究所脳科学総合研究センター、ルール大学ボーフム、新潟大学の共同研究の成果を引用・紹介します。
「過剰な恐怖を和らげるしくみ ~オレキシンによる新たな恐怖調節経路を発見、PTSD 治療に光明~ 」 より引用抜粋
研究成果のポイント
1. 脳内物質オレキシンが、恐怖を感じるレベルを調節していることを発見しました。2. また、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などで見られる「恐怖の汎化注 1)」と呼ばれる現象においても重要な役割を果たしていることを発見しました。
3. オレキシンは、その受容体(OX1R)に結合することで脳深部の神経細胞群を刺激し、恐怖レベルを制御していることも明らかになりました。
4. オレキシンの受容体への結合を妨げることにより、PTSD に見られるような過剰な恐怖反応やパニック発作を抑制できる可能性が示唆されました。
(中略)
今後の展開
オレキシンは、その受容体(OX1R)と結合することにより、恐怖のレベルを調節していました。つまり、オレキシンのOX1R への結合を妨げる物質(拮抗薬)を用いれば、PTSD に見られるような過剰な恐怖反応やパニック発作を抑制することができる可能性があります。
オレキシン受容体拮抗薬はすでに不眠症の治療薬として実用化されていますが、今回発見された新たな効用については、さらなる検討が必要です。- 引用ここまで- (続きは下記リンクより)
もうひとつ追加更新ですが、「つらい経験を思いだすことなく、無意識のうちに恐怖記憶を消去できるニューロフィードバック技術」の紹介です。これは「オペラント条件付け」を脳科学的・技術的に発展させた応用版ともいえますね。
過去記事⇒ 「条件付け」の科学的検証 強迫性障害(行動主義心理学・行動療法・認知行動療法)
「恐怖条件付け」を外すための様々なアナログ的な手法をより合理的にピンポイントに特定領域の運動性のみを変化させることで解決させる、わけです。
このようなことが可能になってきた背景には「条件付け」のメカニズム、「報酬」の脳科学的なメカニズムの段階的な解明があってこそ、より明確に応用できるとこまできたわけですね。
「二重盲検により恐怖記憶緩和の効果を証明~レディーメード 脳情報解読によるニューロフィードバック法~」 より引用抜粋
DecNefを応用すると、被験者が無自覚のうちに恐怖記憶を消去することができます。しかし、従来のDecNefは、個人ごとに恐怖の対象を実際に見せて、その時の脳活動を調べる必要があり、いわばテーラーメードの手法でした。
本研究では、ハイパーアラインメント手法により、ほかのヒトの脳活動から個人の脳活動を推測することに成功し、
従来のDecNefで必須であった「最初に恐怖の対象である画像を見せる」といった工程を省くことができました。
その結果、いわばレディーメードの脳情報解読により、被験者に一切の苦痛を与えず恐怖反応を減弱させることに成功しました。- 引用ここまで- (続きは下記リンクより)
【追加更新】- ここまで –
そしてもう一つは、トラウマ治療で効果を発揮しているEMDRという心理療法があります。以下「日本EMDR学会」のサイトからの引用文を紹介します。
「日本EMDR学会」 より引用抜粋
「EMDRとは」
EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して、エビデンスのある心理療法です。
さらに、他の精神科疾患、精神衛生の問題、身体的症状の治療にも、学術雑誌などに成功例がしっかり記述されています。
EMDRは、適応的情報処理(AIP)というモデルに基づいています。このモデルでは、精神病理の多くが、トラウマ的な、
もしくは苦痛でいやな人生経験が、不適応的にコーディングされた、もしくは、不完全に処理されたことによると仮定されています。
これにより、クライエントは経験を適応的に統合する能力に障害を受けます。EMDRの8段階、3分岐の過程が健常な情報処理、統合の再開を促します。
この治療アプローチでは、過去経験、現在の引き金、未来の潜在的挑戦をターゲットにし、現在の症状を緩和し、苦痛な記憶からストレスを減じたり、除いたりし、自己の見方が改善し、
身体的苦痛から解放され、現在と未来の予測される引き金が解決するのです。
– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)
引用元⇒ 日本EMDR学会
以下、追加更新でEDMRに関する記事をもうひとつ紹介です。
【恐怖を忘れることを学ぶ脳 | Natureダイジェスト5月号】
EMDR(眼球運動による脱感作および再処理法)と呼ばれる治療はPTSDを軽減するがメカニズムは謎。このほど、この治療の視覚刺激で、恐怖の持続を選ぶ神経経路と恐怖消去を選ぶ神経経路のバランスが変わることが示唆された ⇒ 恐怖を忘れることを学ぶ脳
機能不全家族と虐待に関するテーマで書かれた他の方のPDFも以下に紹介しておきますね。
参考PDF① ⇒ 家族の機能不全と虐待に関する試論 菅野 恵
参考PDF② ⇒ PTSDにおける脳科学研究の臨床への考察
精神医学的治療に関しての個人的感想「精神治療に絶対はない」
精神医学的治療の過程には治療法・治療薬や担当の先生・病院の雰囲気との相性の善し悪しなどもあるでしょうし、良い病院もあれば、悪い病院もあるでしょう。
ネットやテレビや雑誌の口コミだって利害関係が色々絡んでいる場合もあり、批判や称賛の全てが真実かどうか?なんて完全にはわかりませんので、あまりアテにはなりません。
(患者への対応があまりに酷い場合や、事件などを起こしているような病院であればハッキリわかるでしょうけど。)
なので盲信せずそして否定もし過ぎずに、出来ればシッカリした一般の第三者と一緒に一度確認で行って、シッカリ吟味してから治療を受けるくらいの方が良いでしょう。
人の心・精神を診て治療するに立場にも関わらず 明らかに人間性が異常だと感じたり対応が杜撰で酷ければ、そんな病院はスグにやめた方が良いですね。
ですが、本当にやばい時にそんなにゆっくり色々調べて選んでもいられませんし、「自宅から通える範囲」という物理的な条件もあるでしょう。
まぁ私の場合は、かなり症状が酷くても結局一度も病院には行きませんでしたが(笑)私の場合の治療法を分類分けするなら「東洋的なアプローチ」で自力で治したタイプと言えるでしょう。
なので精神医学治療に関しては「誰に対してもそれが唯一の絶対的な治療」とか思っていません。 むしろ精神医学治療を疑問に思うことも多々あります。
ですが私の父が医師であるため医学的な話はよくするわけですね、西洋の近代医学的な精神治療の効果や構造、それはそれでよく理解出来るわけです。(問題点や限界も含めて)
そして母の鬱は私と同じ躁鬱タイプだったのですが、その治療では私も精神的にフォローしましたが、専門の精神科医による薬物治療・認知療法なども同時に行い、それが効果を発揮(部分的にですが)したことも身近に体験しました。
母のようなタイプは逆に「マインドフルネス」が上手く出来ないんですね。(他の東洋的エクササイズは結構好きみたいで相性が良いものも一部あり、それなりに効果はありましたが。)
代替医療にしても薬にしても、こういうものは結構相性があるんです。100人同じ治療をしたらほぼ100人全員に効くような、そんな完全なものではありません。
⇒ 感性アプローチ 東洋のイメージ療法 part1トラウマ・囚われから自己実現へ