「音」と「映像」の心理学  Perfumeとアトムとビットの絶妙な関係 

 

音響心理学(聴覚心理学)は、振動と音波を扱う物理学の一分野の「音響学」から派生した心理学的学問で、「音響学」の歴史はとても古く、そのルーツはギリシア時代のピタゴラスの「音階の数学的研究」にまで遡ります。

 

そして17世紀に「音響学の父」とも呼ばれるマラン・メルセンヌの研究によって、オクターブを20000000:1000000として、ほぼ完璧に平均律を記述し、ヨーロッパで最初に音律の明確な理論を確立しました。

 

音楽というと科学の対極にある感性のみの技術に思われがちですが、確かに作品それを自体を生み出す元となるものは感性であっても、その表現形式には数学や科学的な構成秩序の組み合わせが存在します。

 

事実メルセンヌの数学的素養は音律に生かされているんですね。そして19世紀にはレーリーやヘルムホルツによって古典音響学の数学的理論がほぼ完成します。

 

そして20世紀には電気工学や電子工学が進歩発展し「電気音響学」が生まれ、それが現代音響学になっています。

参考 ⇒  Psychoacoustics / 音響心理学

 

「青山学院大学 | AGUインサイト」 より引用抜粋

「音」と「心」を考える
(中略)
この人間社会で、人間が関わることすべてが「心理学」の学びにつながりす。例えば、ビルを建てるにしても人間が建てるわけですし、法律も人間社会のルールを決めるわけですので、「心理学」につながっていきます。
(中略)
私は、音楽や言葉という「音」の視点から「心理学」の研究をしていますので、ぜひこのジャンルに興味を持ってほしいとは思いますが、みなさんの興味のある事からで構いません。

今回のお話で、社会全体を「心理学」を通して考えるきっかけになってくれるとうれしいです。これからも学問の樹は、まだまだ様々なジャンルで心理学という花を咲かせることでしょう。

– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒ 「音」と「心」を考える

 

 

Perfumeとアトムとビットの絶妙な関係

 

私は日本のポップミュージックの若い女性グループでは「Perfume」は昔から今もずっと関心があります。音楽構成・映像構成・振り付け・衣装など、アートと技術のトータルで表現された総合エンターテインメントとして、「Perfume」はクオリティーがとても高いと感じます。

 

カンヌパフォーマンスでの「Perfume」の本質をシンプルに言うなら、真鍋氏の言う「ビットとアトムの中間を行き来するような演出」、私はこれに尽きると思います。「アトムとビット」って?という方は以下のサイトを参考として紹介しておきますね。アトムとビット

 

「ビット」だけに完結せず、「アトム」だけに完結しない、そして「ビットとアトムの中間を行き来する」というこの世界観は、「日常」と「非日常」を同時に体験する不思議な感覚に通じ、これは「癒し」になるんですね。

 

「癒し」をもたらす変性意識の使い方では、世界を見ている時、世界はある意味で「ビットとアトムの中間を行き来する」状況に似ていて、

 

「潜在的・本質的なイメージ世界のビジョン」と「顕在化した物質世界の光景」が合わさったようなものとして、現実は二つの異なる感性・感覚で同時に捉えられます。

 

同様に『Webで始まりリアルで終わる』というMIKIKOさん鉄則のスタンスも、仮想空間のみの「非日常的なもの」として舞台を完結させるのではなく、

 

あくまでも現実を基点にして「非日常的なもの」を効果として使う、という方法はとてもバランスがよいわけですね。

 

私は「Perfume」の魅力は、「アトムとビットの絶妙な関係」を支えているプロジェクトチームの技術力と、3人の女性と音楽・歌詞の日常と非日常」のバランスの絶妙さだと思っているんですね。

 

MIKIKOさんの振り付けの見事さ、そして音響心理学的な効果、さらに衣装や映像技術などの舞台を支える職人集団たちの能力の高さ、そして総勢30名超のプロジェクトチームが演出する一つのパフォーマンスをパーフェクトに演じる「Perfume」の3人も、全て素晴らしいですね。

 

真鍋氏が語るように「チーム編成としては映画に近く、誰が欠けても成立しい」ということが、見ている方からもよく伝わってきます。

 

「エンジニアtype」 より引用抜粋

「世界に衝撃を与えたPerfumeのカンヌパフォーマンス、 その舞台裏に迫る– ライゾマ・真鍋大度氏、石橋素氏に聞いた」

(前略)
パフォーマンスではWebsite上でファンやクリエーターの方々が作ったドロングの作品をステージ上の本人達に映像でプロジェクションしています。

最終的にWebsite上のデータで完結していないところもMIKIKO先生ならで演出だと思いますね。

『Webで始まりリアルで終わる』というのは、いつもMIKIKO先生から求めれる部分なのですが、今回は本人たちのパフォーマンスになる前にPerfumeがユーザーの手元で物質化されたというのが面白かったなと感じました」
(真鍋氏)

(中略)ダンスを記号化、図形化する試みは歴史を紐解くと、起源としては1600年代までさかのぼることができるのですが、

今回のパフォーマンスのベースとなような技術は、2004年ごろから実際に作品でも使われていました。

有名なのはArs ElectronicaのFuture Labがやっていたプロジェクトですね。作品の制作ディレクターのJingから話を聞きましたが、pointgrey社のカメラを使って200fpsで画像解析していたそうです。

当時から高い精度で画像解析 技術が用いられていました。 (中略)

「サーベイの資料にもありますが、プロジェクションマッピングで投影する映像をインタラクティブにしたり、動いている物にプロジェクションをするというのは、メディアアートの世界では普通に行われていますね。

ただ、スカートとシャツの領域を解析して、別々の映像を投影するということまではやられていませんでした。画像解析で全身白の衣装という状況下でパーツごとに区別してリアルタイム解析を行うのは難しいですからね。

– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)

引用元⇒  世界に衝撃を与えたPerfumeのカンヌパフォーマンス、その舞台裏に迫る– ライゾマ・真鍋大度氏、石橋素氏に聞いた

 

【HD】Perfume Performance Cannes Lions International Festival of Creativity

 

⇒  Perfume –  MIKIKO先生の指導シーン

 

 

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