クラシック ピアノ名曲で心を癒す 音楽療法 「1/fゆらぎ」のウソとホント
今回は音楽療法「クラシック ピアノ名曲で心を癒す」の第二弾です。前回は「ポドルスキーの音楽処方曲目」を紹介しました。前回の記事は下記リンクより。
第一弾 ⇒ 音楽療法 クラシックの名曲の癒しうつ・不安神経症・神経衰弱・心身症
今日は「ポドルスキー」ではなく、私自身の主観的・感性的なものから独自の「音楽療法的」な癒し効果を検証しクラシックピアノ曲のオリジナルな処方曲目を作成してみました。不安・悲しみ・抑うつ感・無気力感・神経症などの「癒し」に補足的に役立てて見て下さい。
また当ブログでは「音の癒し」に関連する記事を複数書いていますが、癒しと関係が深いもうひとつの要素である「倍音」に関するテーマで書いた記事も以下にピックアップ紹介しておきます。
〇 楽器・倍音の癒し効果 音の癒しを科学する
〇 ガムランの倍音・ゆらぎ 世界の民族音楽・伝統的な音楽の癒し
〇 倍音とゆらぎの癒しの多元性 カリスマ性のタイプと多元性
〇 倍音とリズム 民族と基層文化 / 私たちはみな同じでみな違う
後、西洋医学・東洋医学を併用する医師(つゆくさ医院)で音楽家の伊達伯欣氏の音楽系サイト「音と心と体のカルテ」も紹介しておきますね。
心を癒すクラシック オリジナル音楽療法一覧
これはクラシック作曲家のピアノ曲の中から私が最も好きな曲をセレクトしたものです。 私自身の心・精神の病の体験と意識の変化の観察から組み合わせたオリジナルなものです。詳細は一覧下の補足説明をご覧ください。※ クラシックが好きではない方は無理に参考にする必要はありません。※ あくまでも補足的な癒し効果であり、誰にとっても効果のあるようなものではないので、「参考にする程度」の感覚でお役立てください。
(表:ユーチューブ動画へのリンクあり)
組み合わせ → ↓ 旋律の質 | セット1 | セット2 | セット3 |
---|---|---|---|
① 陰性・静的なゆらぎ ※ 同調・落ち着き | ① リスト (Horowitz) | ① ショパン (演奏者名不明) | ① シューベルト (Kempff) |
② 陰性・動的なゆらぎ ※ 躍動と変化 | ② リスト (長富彩) | ② ショパン (Valentina Lisitsa) | ② バッハ (Glenn Gould) |
③ 陰性+熱性・ 動的なゆらぎ ※情熱・激しさ | ③ ラフマニノフ (Valentina Lisitsa ) | ③ ショパン (Valentina Lisitsa) | ③ ベートーベン (Kempff) |
④ 陰性+陽性 ※癒し・やすらぎ | ④ ラフマニノフ (Pennario) | ④ ショパン (Pollini) | ④ ベートーベン (Umi Garrett ) |
「組み合わせ」は、3セットあり、それぞれ①④までを順番に聴くことで癒し効果とするものです。といっても、これはあくまで主観でしかなく、感覚的なものなので、あまり深く考えないでくださいね。「そう感じるか感じないかはあなた次第」、という程度のライトな感覚で読んでいただければ、と思います。
一応以下に、「どんな風に曲を選んだか」と、あと「曲の質的なもの」、まぁ今回のテーマの範囲内でのものですが、それだけを書いておきます。
「 旋律の質 」は4種類あり、① 番目の「陰性・静的なゆらぎ」では、まず「同調・落ち着き」の段階です。「不安・悲しみ・落ち込み」などの心・精神の「陰性状態」と「陰性で静的なゆらぎを持つ旋律」が同調することで、その気持ちを陰性状態のままで落ち着かせます。
② 番目の「陰性・動的なゆらぎ」の旋律では、①で落ち着いた「陰性の気持ち」を「動的なゆらぎ」で揺り動かし変化させ「躍動感の流れ」を生みだします。
③番目の「 陰性+熱性・ 動的なゆらぎ」の旋律では、②で生みだされた「躍動感の流れ」に「情熱・激しさ」などの熱性の質を加えていきます。
④番目の「陰性+陽性」の旋律では、③までの過程で変化した「陰性の気持ち」に「陽性」の質を加えることで「癒し・やすらぎ」の意識状態へ変化させます。
ある適度「癒し・やすらぎ」の意識状態になったら、中性(陰陽融合)の旋律であるラヴェル《水の戯れ Jeux d’eau》で仕上げとします。
私はラベルのピアノ曲の中で「水の戯れ」一番好きな曲なんですが、この曲は素晴らしい「ゆらぎの流れ」があり、旋律自体に精霊的な生命力さえ感じるほどの煌めきがあります。まさに天才的な芸術的感性によって生み出された傑作ですね。
もうひとつラヴェルの美しい「ピアノ協奏曲ト長調の第二楽章」も追加で紹介しておきますね。演奏は「萩原麻未」さんです。
〇 ジュネーブ国際音楽コンクールピアノ部門優勝/萩原麻未/第2楽章
音楽療法「1/fゆらぎ」のウソとホント
私が使う「ゆらぎ」という概念は、よく世間で使われる「1/fゆらぎ」の概念とは意味合いがかなり異なります。音のある要素の一部分だけを切り取っても、
それが「ゆらぎ」とは言えず、「科学的分析」の名のもとに波形などで説明しても、それが「ゆらぎというものの全体性」をかえって見失う偏った理屈への囚われにしかならないのなら本末転倒なんですね。
芸術や心・精神というような「感性的な主観的領域を含んだもの」をテーマにする時は、「感性」で「物事・対象の全体性を感じる」ということを全く抜きにした分析方法のみでは、
かえって「対象の全体性」を見失うことがよくあるのです。(例えば行動主義心理学の矛盾や限界ように。)
なので、科学的・感性的、客観的・主観的、な両方の角度をバランスよく持って対象を見つめていくことが必要なんですね。
それでは最後に「1/fゆらぎ」への疑問をテーマにした外部サイトの記事を紹介して、記事の終わりとします。
「Art Studio まほろば」 より引用抜粋
これまで1/fゆらぎという言葉自体は知っていましたが、どうしても心に引っかかることが一つだけありました。
(中略)
音楽のゆらぎといった場合、いったい何がゆらいでいるのでしょうか?
(中略)
音楽療法系のサイトへ行くと、よく「モーツァルトの音楽は1/fゆらぎを持っています」とか、「美空ひばりの歌声は1/fゆらぎを持っています」ということが書いてありますが、では何がゆらいでいるのか?という質問に明確に答えられる人はおそらくいないのではないかと思います。
そこから突然アルファ波に話が飛んでしまうと論理が飛躍しすぎてついていけません。どうもこの手の議論は物理的な考察をスキップして1/fゆらぎという言葉だけが一人歩きしてしまっているような印象を受けます。
(中略)
上記のような誤解がなぜ生まれてきたのかというと、それは音楽が「波形」そのものだからではないかと推察しています。つまり音の波形をフーリエ変換すれば即スペクトルになるという短絡的な発想から生まれたものだと思います。しかし波形をフーリエ変換してみても音の周波数特性しか出てこないことは明らかです。
これは言ってみれば音を波形という非常にミクロな視点で見ていることに相当します。初めに述べたように、われわれ人間は音を波形の変化としては認識しません。こうした非常に短い時間に起こる波形の変化をゆらぎとして捉えているのではないはずです。
瞬間瞬間に切り取られたスペクトルをいくら積み重ねてみても、そこに時間の要素はまったく含まれていないことは明らかです。
ゆらぎという言葉の裏には「時間的なもの」というニュアンスが含まれているように思います(実際は空間的なものも含まれますが)。ちょうどロウソクの炎がゆらゆらと揺れている場面をイメージしてください。
われわれが感じる「ゆらぎ」とはこういった時間とともに変化するものを指すのではないでしょうか?
そうだとすれば、時間的には数十分の1秒から数十秒といったレベルの周期で「何か」が揺れているものをゆらぎと感じ、それが1/fになっていると心地良く感じるのではないかと考えると自然に理解することができます。
ここから音をミクロに見るのではなく、もっとマクロな視点で見ていく必要があるという考え方に行き着くのです。
– 引用ここまで- (続きは下記リンクより)
引用元⇒ 誤解に満ちた1/fゆらぎの世界